正直に言います。
集団下校が、こわかったです。
先生から「迎えに来てほしい」と言われた日
息子は小1。入学してから、集団下校でのトラブルがじわじわと積み重なっていました。
列から遅れる。突然、全然違う方向に歩き出す。止めようとすると逃げる。
先生も対応してくださっていたのですが、ある日ついに「しばらくの間、迎えに来ていただけますか」とお願いされました。
わかりました、と答えながら、正直すこし複雑でした。
「また、息子のせいで……」という気持ちと、「でも迷惑かけてるのは事実だし」という気持ちがぐるぐると。
それからは毎日、学校の近くまで迎えに行く日々が続いています。
背の高い子たちの中に、チビが1人
昨日は全学年が同じ時間に下校する日だったようで、いつもとちがう雰囲気でした。
坂の向こうから、わいわいと子どもたちの声が聞こえてきて。
背の高い子たちのグループが歩いてくるのが見えました。
「6年生かな」と思いながら目を細めると……その中に、なんか1人だけ頭ひとつぶん小さい子がいる。
あれ。
え、息子じゃん。
思わず笑ってしまいました。
折り紙の手錠と、6年生の優しさ
近づいてよく見ると、息子の両手に何かがはまっていました。
折り紙で作られた、手錠。
先生が作ってくれたものだと後で聞きました。息子が動き回らないように、という苦肉の策だったのかもしれません。でも息子本人はまったく気にした様子もなく、ぷらぷらと手錠をゆらしながら歩いていました。
そして6年生の子たちが、その息子の頭をなでながら「かわいいな〜」と言っているんです。
思ったよりずっと優しかった。
問題児でも、手錠がついてても、6年生には「かわいい後輩」に映ったんでしょうか。もしくは単純に、ちびっこを微笑ましく思ってくれたのか。どちらにしても、その光景にわたしはじーんときてしまいました。
「ゲーム何やってるの?」「トランプ」
感動もつかの間、息子が何やら6年生に話しかけていました。
「ぼくな、将来、東京の大学に行くんだ!」
……は?
小1で東京の大学宣言。
6年生たちはやさしく「そうなんや〜すごいな」と流してくれていましたが、わたしはひそかに「どこで覚えてきたんだそれ」と頭を抱えていました。
そして6年生の一人が、「ゲーム何やってるの?」と聞きました。
息子、0.5秒の間もなく答えました。
「トランプ」
6年生、一瞬フリーズ。
「……トランプ?」
「そう、トランプ!」
うちにはゲーム機がありません。他の子はスイッチやスマホゲームの話で盛り上がっているのに、息子だけはいつも「トランプ」で返すんです。恥ずかしいとか、場がちがうとか、そういう空気を読む機能が息子にはまだないらしく、本当にお構いなしに「トランプ!」と答えます。
ある意味、すごい。
6年生たちは笑いながら「トランプもええよな〜」と言ってくれていました。やさしい。本当にやさしい。
久しぶりに、笑って帰ってきた
その日の息子は、帰り道ずっとご機嫌でした。
6年生に話しかけてもらったのが嬉しかったのか、いつもより歩くペースも速くて、わたしの隣でぱたぱたと手錠を揺らしながらしゃべり続けていました。
毎日迎えに行くことが決まってから、どこかずっと気が張っていたわたしも、この日はすこし肩の力が抜けた気がしました。
優しく接してくれた6年生たちのことを思うと、今も胸があたたかくなります。
息子がいろんな場面で迷惑をかけている中で、こんなふうに笑って迎えてくれる子たちがいる。
それだけで、救われるものがあります。
6年生、ありがとう。
そして息子よ、トランプはゲームじゃないよ……いや、ゲームか。まあいいか。
はな / 多動傾向の息子(小1)と毎日奮闘中のまま