「ただいまー!」
元気すぎる声が聞こえた瞬間、仕事中のわたしの手が止まりました。
はなです。
なんかテンション高すぎる
オートロックのあるマンションなのに、どうやって入ってきたんだろう。
たぶん、同じ学校の子が開けてくれたんだと思います。
それより、声のテンションがいつもと違う。
「あれ、なんか今日……妙に楽しそうじゃない?」
嫌な予感がして、仕事を一旦中断して玄関に出ました。
前回のあの一件(→女の子がついてきた話)があってから、息子の「ただいまー」の声のトーンに敏感になっています。テンションが高いほど、後ろに誰かいる可能性が高い。これが経験則というものです。学習しています。でも学習しているのはわたしだけで、息子は何も変わっていない。
増えてた
息子の後ろに、見覚えのある女の子。
そしてもう一人、男の子。
3人で帰ってきていました。
「……またか」という気持ちと、「今回は2人か」という気持ちが、同時にやってきました。
先週は女の子が1人でついてきた。今週は女の子+男の子の計2人。
なんか、増えてる。むしろスケールアップしてる。
息子は3人のうち一番前に立ってにこにこしていて、「来たで!」みたいな顔をしています。あなた、何も悪いと思っていないでしょう。
前回、学校からかなりお叱りを受けたので
先日の一件で、学校から「ランドセルを置いて、親の許可を取ってから遊びに行くこと」とちゃんと指導を受けていたはず。
慌てて女の子のお母さんに電話をかけようとしたその瞬間。
電話が鳴りました。
お母さんからでした。
この展開、前回と少し似ています。違うのは、今回は向こうから電話をしてきてくださったこと。学校でのお話を受けて、「うちの子が行ってしまったかもしれない」と気づいてくださったんだと思います。
前回よりも、少しだけ連携が取れてきた気がしました。
「すぐ迎えに行きます」
お母さんは状況を把握されていて、開口一番「すぐ迎えに行きます」とおっしゃいました。
本当にすぐ、マンションまで来てくださいました。
男の子については「以前うちに来たことがあるので場所がわかります、送っていきます」とも言っていただいて、お任せしました。
てきぱきしたお母さんで、頭が下がりました。
電話を切ってからすぐにいらしたので、家がわりと近いのかもしれません。「子どもが勝手に来てしまってすみません」と恐縮されていましたが、わたしも「うちの子が誘ったんで……」という感じで、お互いに恐縮し合って玄関でちょっと笑ってしまいました。
こうやってお互い顔を合わせて話せると、なんとなく安心感があります。
複雑な気持ち
遊びに来てくれること自体は、嬉しいんです。
息子に友達がいる、うちに来てくれる子がいる。それは本当に嬉しい。
入学前は「うちの子、クラスでなじめるかな」「友達できるかな」とずっと不安だったので、こうして来てくれる子がいること自体、ものすごく嬉しい。
でも学校でちゃんと「家に帰って、親の許可をもらってから」と言われているのに、またこうなってしまった。
ルールを守ることの大切さを、どうやって息子に伝えればいいんだろう。
これは息子だけじゃなくて、来た子たちも同じなんだろうけど。
小1ってこういうものなのかな、と思いつつ。でも「みんなもやってるから」という感覚にさせたくない気持ちもあって。難しいんです、このあたりが。
息子との話し合い
子どもたちが帰った後、息子と改めて話しました。
「また帰ってすぐ来てもらったやん。ルール、覚えてる?」
「…ランドセル置いてから、でしょ」
「そうやん。できてた?」
「…できてなかった」
「そうやな。だからまたこうなった」
責めるというより、確認するような話し方にしました。怒ってもあまり意味がないことは経験済みで。息子が「やってしまった」と認識できることのほうが大事。
「次はランドセル置いてから声かけて」と言ったら、「うん、わかった」と返ってきました。
どこまで本当にわかったかは、来週また確認します。
また次も来るんだろうな
たぶん、来ます。
「ただいまー!」の後に変なテンションを感じたら、玄関に走る。
それがわたしの新しい日課になりつつあります。
これが毎回続くのか、いつか「ちゃんとルール守れるようになったね」と言える日が来るのかはわかりません。でも、来てくれる子がいること自体は、本当にありがたい。
だって息子のこと、「一緒に遊びたい」と思ってくれているわけで。
やんちゃで、ルールを守れないこともある息子を、それでも「また行こう」と思ってくれている。
それが何より嬉しくて、ちょっと泣きそうになっているわたしです。
「玄関に走る」と引き換えに、息子の笑顔がある。まあ、それでいいか。
毎回玄関に走りながら、そう思っています。
ルールと友達、どっちも大事にしてほしい
今回の件で、息子にまた話しました。
「ランドセル置いて、ままに言ってから遊ぼう。それが守れないと、また来てもらえなくなるかもしれないよ」
脅かしたくはないんですが、「ルールを破ったら友達と遊べなくなる」という現実的な話をしました。「だからルールを守る」というのが本質的な動機じゃないとは思いつつ、まずはそこから理解してもらえれば、と。
「うん、次はちゃんとする」と言っていました。
「次は」ってついたのがちょっと気になったけど、まあ、言葉にできたことを褒めておきました。
友達ができたことは本当に嬉しい。でもその関係を続けるためにもルールがある、という感覚を少しずつ育てていきたい。それが社会で生きていく力になると思うから。
息子のやんちゃな姿に振り回されながらも、「友達が来てくれてよかった」という気持ちは本物です。来てくれる子がいる、遊びたいと思ってくれる子がいる。それが何より嬉しくて、すべての疲れが吹き飛ぶくらいの話です。
また来てね、ちゃんとルール守って来てね。
はなより